2022年度 特別講演会開催

演題 「TAE Technologiesにおける核融合研究とその応用技術の開発」

日時
2022年6月20日(月) 15時15分 ~ 16時45分
場所
核融合科学研究会よりウェッブ会議システム(Zoom)を使用

米TAEテクノロジー社 郷田博司 氏

アメリカ・南カリフォルニアに拠点を置くTAE Technologies(旧社名Tri Alpha Energy)は、商用核融合炉の開発・運転をめざす企業として1998年にUC Irvine校から派生し設立され、これまで多くの私的資金の投入実績と実験装置を所有し活動している。TAEでは,磁場反転配位(FRC)プラズマへの高エネルギー中性粒子ビーム入射(NBI)により高温プラズマの達成と電流維持を行い、平均ベータ値が100%に近い高効率で理想的な磁場閉じ込め核融合の確立を目指した研究・開発を行っている。将来的には先進燃料(水素–ホウ素:p-11B)を用いた中性子排出の懸念のない核融合炉の開発・運転を目指している。その先駆けとして近年NIFSとの共同研究も始まり、LHD装置を用いたp-11B実験も実施されたばかりである。TAEでは現在,世界最大規模のFRC実験装置C-2W(別名Norman)が稼働中であり、総出力~20 MW程度のNBIシステムによりFRCプラズマの高温化・配位維持・閉じ込め特性向上等の飛躍的進歩を遂げている。講演ではC-2Wの概要とともに主な研究成果を発表する。
また、TAEにおけるこれまでの核融合研究から派生した応用技術もいくつかあり、その一例としてバッテリー充電や電力制御技術、さらには癌のホウ素中性子捕捉療法(BNCT)のための医療用ビームの開発等が挙げられる。これら応用技術の概要・開発等についても簡単に併せて紹介したい。